MEMORIAL PROJECT 創立150周年記念事業・イベント
2024年12月21日(土)、立教学院創立150周年企画として池袋キャンパスオープンデイが開催され、メインイベントの一つとして、能『聖パウロの回心』がタッカーホールで上演されました。
この作品は、新約聖書「使徒言行録」第9章「パウロの回心」を忠実に能として劇化した新作能です。国文学者の林望さんが台本を手掛け、二十六世観世宗家・観世清和さんが能作・演出、野村萬斎さんが狂言演出を担当。東日本大震災の鎮魂と復興を祈念して、2012年3月に今回と同じタッカーホールで初演されました。当時、天使の役を務めたのは、立教小学校に在校していた観世清和さんの子息・観世三郎太さん(立教小学校、立教池袋中学校・高等学校を経て、2022年立教大学法学部卒業)と、野村萬斎さんの子息・野村裕基さん(立教小学校、立教池袋中学校を経て、2018年立教英国学院高等部卒業)です。今回の上演でも、二人は重要な役どころで舞台を支えました。
会場は、立教小学校の児童や保護者、立教大学の校友、立教学院関係者で満員となりました。
中川英樹立教大学チャプレンによるお祈り、西原廉太立教学院院長・大学総長の上演あいさつで始まりました。初めに、観世三郎太さんが、仕舞『高砂』を披露。次に、台本を手掛けた林さんが登壇し、能『聖パウロの回心』について解説。世阿弥の教えに倣い、できるだけ脚色せず、聖書の内容に忠実に台本を作成したというエピソードや、能とキリシタンの文化の関連性などについて語りました。
続いて上演された『聖パウロの回心』では、サウロ(パウロ)を観世清和さん、復活のイエスを観世三郎太さん、ダマスコの里人を野村裕基さんがそれぞれ演じました。来場者に配られたパンフレットには詞章(台本のせりふ)が記載されており、それと照らし合わせながら観ることで初心者でも物語の内容を理解できるようになっていました。
クライマックスのパウロが回心する場面では、立教小学校の今井俊道音楽科教諭(立教大学教会音楽研究所所員)がバッハのオルガン曲を演奏。和と洋が融合した荘厳な演出が加わり観客は大きな感動に包まれました。そして最後に広田勝一立教学院チャプレン長によるお祈りで締めくくりました。