
MEMORIAL PROJECT 創立150周年記念事業・イベント
【開催報告】講演と朗読「立教大学×文学座 江戸川乱歩を読む」
2025年1月26日(日)、立教学院創立150周年企画の一環として、江戸川乱歩記念大衆文化研究センター(以下、センター)主催による講演と朗読「立教大学×文学座 江戸川乱歩を読む」が開催されました。かつて乱歩が「僕の土蔵のすぐ裏には、基督教の神学校があって、そこの礼拝堂の鐘が、朝、昼、晩の三度、ニコライの鐘より少し鋭い音で、グワングワンと鳴り響くのである」(「池袋二十四年」『立教』1956.10)と著したように、乱歩が当時から立教に縁があったことを想起させる立教学院諸聖徒礼拝堂(池袋チャペル)を会場として、140名を超える来場者を迎えました。

今回の講演会は1937年創立の文学座※との共催で、乱歩作品を「耳で楽しむ」機会として、文学座文芸編集室の後藤隆基さん(センター特定課題研究員)と文学座俳優の小野洋子さんにご登壇いただきました。
※1937年9月6日、岸田國士、久保田万太郎、岩田豊雄(獅子文六)の発起にて旧築地座系の新劇人に呼び掛けて結成された劇団。劇団結成以来「名実ともに現代俳優たり得る人材」の育成に努める。近年は、シニア世代向けのワークショップや公共ホールや学校などで演劇ワークショップ事業を行うなど地域や教育の場にも劇団の力を発揮。
当日は石川巧センター長の挨拶で始まり、はじめに後藤隆基さんによる「乱歩と演劇と文学座」と題した講演があり、乱歩と杉村春子との交流や、『黒手組』『陰獣』の舞台化に関する資料等が紹介され、乱歩と演劇、文学座との関係について、センター所蔵資料をもとに詳しく語られました。


後半は小野洋子さんによる『妻に失恋した男』の朗読。刑事の回想とともに事件の核心に迫る語りが展開され、トリックが明かされる場面が鮮やかに浮かび上がりました。続く『指』では、
最後に、後藤さんと小野さんによるアフタートークが行われ、緊張感漂う朗読から一転、和やかな雰囲気のもと、小野さんと乱歩作品の出会い、言葉へのこだわり、演者の気さくな人柄をうかがわせる場となりました。

立教学院が創立150周年を迎えた今年度は、奇しくも江戸川乱歩(本名・平井太郎)の生誕130年にもあたります。今回の朗読会は、文学作品を「朗読」という新たな視点で知る機会となっただけでなく、センターが所蔵する乱歩旧蔵資料が当時の文化を知る手がかりとなること、文学作品と周辺の芸術分野との連携の可能性など、「旧江戸川乱歩邸」及び当センターのさらなる発展を感じさせる機会になりました。なお、150周年事業の一環として進められている「旧江戸川乱歩邸整備事業」は、3月に改修工事を完了し、2025年5月に再開館を迎えます。どうぞご期待ください。